なぜ〝山の中〟に〝用水路〟は作られたか? ─房総丘陵の水利用(西谷大/著『写真紀行 雲のうえの千枚ダム』関連)

西谷大/著『写真紀行 雲のうえの千枚ダム – 中国雲南・大棚田地帯 (キオクのヒキダシ1)』刊行から1か月。みなさま、お手にとっていただきましたでしょうか。本書刊行の前、2014年の5月のことですが、千葉の房総丘陵にある棚田や山の中に作られた用水路を見学したことがありました。今回はその様子をお伝えします。

木更津金田バスターミナルから出発した西谷先生の車がまず向かったのは、鴨川市の大山千枚田。空を映す水田は、一枚一枚がちがう形をした絵皿のようでもあります。そんなのんきな感想を持つと、土や水との距離が遠い生活を自分が送っていることを実感させるものです。

斜面は畑地として利用。

 


続いて久留里線沿いの水田に移動しました。ここでは「カズサボリ」(上総掘り)を見ることができました。

カズサボリによって自噴する水を田に配水するようす。


 

さらに車が向かった先に広がるダム。さいきんでは施設の老朽化が問題視されているとの話。

 


100年以上前に作られたという、用水路の実例をみることができました。山道沿いの所々にまるで秘密の抜け道のような水のトンネルがあるのです。

標高差を逆手にとって、耕作地と同じ高さの水(川)を利用するために山にトンネルが掘られたのです。トンネルの幅にちなんで、「二五穴」(にごあな 横幅二尺 高さ五尺)と呼ばれています。(参考:『房総の二五穴 房総のお宝シリーズ1』発行 千葉県立中央博物館、2014年)

水のトンネルは100年以上たった今も現役だそうです。この一帯は古くから水不足に悩まされていたため、こうした用水路が作られたといいます。(参考:「共同研究「日本の中山間地域における人と自然の文化誌」中間報告 ─記録からみる蔵玉・折木沢用水の開削─」西谷大・島立理子・大久保悟)

ここにもぽっかり口をあける水のトンネル!


農家の水田。先ほど見た用水路から引かれた水が利用されています。

 

 

 

 

 

 


上の写真は段丘の上から撮っています。よ~~くみると、鉄道のレールが判るでしょうか?(‥‥こんな写真でスミマセン)

久留里線のレールの前で水路は急降下し、線路の下を通り、その先の水田へとつながっているのです。

お米作りのために、その特別な土地の性格にまっこうから挑んだ取り組みは、村をこえての共同開発だったそうです。

この房総の水利用の話を導入部分にした旅紀行『写真紀行 雲のうえの千枚ダム – 中国雲南・大棚田地帯 (キオクのヒキダシ1)』は、中国・雲南省の山のかなたで、大自然と向き合う人たちの「身の丈にあった技術」を目の当たりにした驚きと興奮の物語が描かれます。ぜひ西谷大氏が探求する人と自然の文化誌の醍醐味をお楽しみ下さい!

西谷大/著
写真紀行 雲のうえの千枚ダム
─中国雲南・大棚田地帯─

(装丁・中原達治)

■書誌情報 四六判ソフトカバー 本文272頁、口絵カラー4頁
ISBN978-4-7845-1733-6 定価=本体2,400円+税

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投稿者: 社会評論社 特設サイト 目録準備室

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