| 刊行情報 | 長浜 功/著「大志」の細道 十年前の最終講義 SQ選書17 社会評論社 2019年7月中旬刊

人間と文化を対象とする教育は、夢と希望を語れる世界である。その志を持続して歩み続けたひとりの大学教師の三十余年の足跡を読む。


「大志」の細道 十年前の最終講義 SQ選書17
長浜 功/著
定価=本体1800円+税 ISBN978-4-7845-1745-9 四六判並製200頁


ながはまいさお 一九四一年北海道生まれ。北海道大学教育学部、同大学院博士過程を経て、以後三十余年、大学の教壇に立つ。二〇〇七年、東京学芸大学(教授)を定年退職。著書に、『常民教育論―柳田國男の教育観』(新泉社)、『彷徨のまなざし──宮本常一の旅と学問』(明石書店)、『北大路魯山人という生き方』(洋泉社)、『石川啄木という生き方』(社会評論社)、『孤高の歌人―土岐善麿』(社会評論社)など多数ある。

概要

第1章 講義編

本篇はいわゆる「講義録」ではありません。むしろ講義では伝え得なかったことを列記したものです。なかには教育と関係ない話と思われるものもありますが、私にとっては大ありなのです。教育は人間と文化が対象です。そして夢と希望を語れる世界でなければなりません。

第2章 実践編

「晩年」は研究室に籠るようになってしまいましたが、私はどちらかというと学究肌でなく現場の第一線で動き回る型の人間でした。特に社会教育論は理屈でなく、実践です。自慢できるような話はほとんどありませんが、私の社会教育論はすべて自らの実践の積み上げです。その点だけが他の社会教育研究者とちがいます。

第3章 戦争と教育

本章から第5章までは私の研究の軌跡です。語れるほどの中身はないのですが、特に本章では教育界の火中の栗を敢えてて拾った顛末の一端を綴ったものです。このことが私の研究者の運命を左右しました。しかし、それも柳田國男の言う「無知の相続」の一環になればいいと思っています。学問にとってタブーこそがもっとも忌むべきものだということを肌で感じたものでした。

第4章 文化と学問

教育学の歴史的敗北という内省から取り組んだのが、もう少し視野を拡大して日本の文化と学問から学び直すということでした。特に柳田國男と宮本常一の学問は、日本とは何か、日本人とは何かを問う偉大な学問です。祖国と学問を考える上で、この二人の遺された学問を後に続く人々が受け継ぐことが重要な事だと思います。

第5章 教育と芸術

歴史の重みに耐えなかった教育を科学でなく、個性と創造を核とする芸術という視点から再構築できないかという考えを抱いて十数年、課題は山積していますが、ここではその問題提起を試みました。

補章 雑記帳

私の資料ファイルに収めたいくつかの文章と書斎で酩酊しながらしたためているエッセイも入れておきました。これまで硬いお話しばかりでしたから、ここではお茶でも飲みながら読んでいただければ幸甚です。


★2019年7月中旬発売予定。全国の書店で予約が可能です。

投稿者: 社会評論社 サイト

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