| 詳報 | 石塚正英/著 ヘーゲル左派という時代思潮 A.ルーゲ/L.フォイエルバッハ/M.シュティルナー

1948年のドイツ三月革命の前段階(1830年代後半~40年代中葉)の時期に、ドイツ内外のヨーロッパ諸地域で活躍したヘーゲル左派は、サン=シモン、フーリエ等フランスの思想運動・社会運動に大きく影響される。本書では、アーノルト・ルーゲ、ルートヴィヒ・フォイエルバッハ、マックス・シュティルナーを基軸に、ヘーゲル左派の宗教・歴史・法・自然めぐる哲学的・社会思想的射程を解明する。その現実的有効射程は現在に及んでいる。


目 次


はしがき

第Ⅰ部 思想家集団とその哲学的・社会思想的射程

序論 研究史・動向

第1節 諸外国、とりわけドイツ
第2節 日本、とりわけ1960 年以降

第1章 青年ドイツ派とサン= シモニズム

第1節 サン= シモニズムのドイツへの流入
第2節 サン= シモニズム受容
第3節 「肉体の復権」とキリスト教批判
第4節 1835 年末の弾圧

第2章 思想家集団ヘーゲル左派

第1節 ヘーゲル左派の形成
第2節 ロマン主義批判
第3節 ヘーゲル的プロイセン国家の讃美
第4節 プロイセン的ヘーゲル哲学の批判
第5節 自由主義批判
第6節 ルーゲとマルクスの疎隔

第3章 ヘーゲル左派思想の大衆化─光の友協会・自由信仰教会

第1節 合理主義信仰運動の形成
第2節 ヘーゲル左派からの思想的影響
第3節 ドイツ・カトリック教派との連合
第4節 光の友協会の政治的急進化
第5節 自由信仰教会への移行
第6節 三月革命期の自由信仰教会
第7節 自由信仰教会の活動領域

第4章 シュティルナーのヘーゲル左派批判

第1節 反文明的態度
第2節 他なる自我
第3節 ソキエタスとキヴィタス
第4節 物質主義
第5節 唯一者

第5章 汎神論から他我論への展開―中後期フォイエルバッハ

第1節 それとは違う神話世界を求めて
第2節 中後期フォイエルバッハの自然信仰論
第3節 原初的信仰の規範―フェティシズム、アニミズム、トーテミズム
第4節 フォイエルバッハからフッサールへ

第6章 自然的・感性的身体観―フォイエルバッハ

第1節 ヘーゲルに逆らう
第2節 肉体の復権
第3節 形像(Bild)が事象(Sache)に続く

第7章 フォイエルバッハと日本の古代信仰

第1節 日本の宗教との出逢い
第2節 『外国』紙上の記事「日本」と遺稿
第3節 フォイエルバッハの比較宗教学的研究法
第4節 遺稿「日本の宗教」の分析
第5節 自然崇拝のフェティシズム的性格

第8章 マルクス左派の超家族論

第1節 造語「パトリオフィル(愛郷心, patriophil)」の説明
第2節 歴史貫通的なパトリオフィル
第3節 老マルクスの氏族社会研究
第4節 21 世紀社会へのスクラップ&ビルド
第5節 存在型民主主義とその後の超家族

第Ⅱ部 年表・三月革命人(1762 〜1895)

付録1:本書に関する邦語雑誌論文目録(1924-1981 年)
付録2:本書に関する邦語雑誌論文・図書目録(1982 年以降)

あとがき

A5判ソフトカバー 304頁 定価=本体3000円+税
2019年5月刊


はしがき 抜粋

本書の叙述構成は次のようになる。

【第一部】ヘーゲル左派の先駆である青年ドイツ文学派(Das Junge Deutschland)に言及する(第1章)。本論の第1 として、ヘーゲル左派の思想と行動をアーノルト・ルーゲの批判運動に代表させて検討する(第2章)。本論の第2として、ヘーゲル左派という少数知識人の思想、とりわけフォイエルバッハのキリスト教批判をよかれあしかれ大衆運動の指導理念= 時代思潮として普及させた光の友協会(Lichtfreunde)の活動を検討する(第3章)。この協会についての立ち入った考察は、本研究の大きな特色であると考えている。本論の第3に、『唯一者とその所有』(1844年)を先駆的事例にして、さらには中後期フォイエルバッハを後発的事例にして、その後のヘーゲル左派を解説する(第4章~第7章)。

本論の第4として、1880年前後に氏族社会研究に突き進んだ老マルクスがモーガン、バッハオーフェンを介して非ヨーロッパ世界に注目した事情を解説する。この事情は、「ライン新聞」307号(1842年)でキューバ先住民の黄金を事例にフェティシズムに言及した若きマルクスの問題意識あるいはヘーゲル左派の思想圏に深く絡む。

【第二部】「年表・三月革命人」。これは、〔その後のヘーゲル左派〕までを包み込む「ヘーゲル左派という時代思潮」の叙述意図に特化しつつも、三月前(Vormärz)から三月革命(Märzrevolution)へ、という大きな括りを最大限に意識して編集された〔読む年表〕である。フィヒテ生年(1762年)からエンゲルス没年(1895 年)までを含む。これはけっして本論からみて付録の位置にあるのではない。

なお、19世紀30年代40年代のヨーロッパ思想界、およびその只中におけるヘーゲル左派思想の展開については、以下の拙著をあわせて参照されたい、『近世ヨーロッパの民衆指導者』(社会評論社、2011年)。

石塚正英

著者略歴

石塚正英(いしづか まさひで)
1949 年、新潟県上越市(旧高田市)に生まれる。当年とって古稀となる。立正大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程満期退学、同研究科哲学専攻論文博士(文学)。1982 年~、立正大学、専修大学、明治大学、中央大学、東京電機大学(専任)歴任。2008 年~、NPO 法人頸城野郷土資料室(新潟県知事認証)理事長。
主要著作

〔論説〕「学問論の構築へ向けて」、立正大学学生新聞会編集『立正大学学生新聞』第229-231 号、1970 年(歴史知と学問論、社会評論社、2007 年、所収)
〔著作〕『叛徒と革命―ブランキ・ヴァイトリンク・ノート』イザラ書房、1975 年。(図書館協会推薦図書)
〔著作〕『三月前期の急進主義―青年ヘーゲル派と義人同盟に関する社会思想史的研究』長崎出版、1983 年。
〔翻訳〕ローレンツ・シュタイン、石川三義・柴田隆行・石塚正英共訳『平等原理と社会主義―今日のフランスにおける社会主義と共産主義』法政大学出版局、1990 年。(第26回日本翻訳出版文化賞)
〔著作〕『フェティシズムの思想圏―ド= ブロス・フォイエルバッハ・マルクス』、世界書院、1991 年。(博士〔文学〕学位論文)
〔編著〕『ヘーゲル左派―思想・運動・歴史』法政大学出版局、1992 年。
〔翻訳〕ダーフィット・フリードリヒ・シュトラウス、生方卓・柴田隆行・石塚正英・石川三義共訳『イエスの生涯・緒論』世界書院、1994 年。(図書館協会選定図書)
〔編著〕『ヘーゲル左派と独仏思想界』御茶の水書房、1999 年。
〔著作集〕石塚正英著作選【社会思想史の窓】全6 巻、社会評論社、2014-15 年。
〔著作〕『革命職人ヴァイトリング―コミューンからアソシエーションへ』社会評論社、2016 年。
〔著作〕『マルクスの「フェティシズム・ノート」を読む―偉大なる、聖なる人間の発見』社会評論社、2018 年

 

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