詳報 || 依田賢太郎/著『いきものをとむらう歴史』社会評論社

 


著者より読者へ


この本では、私が調べてきた動物の墓や供養・慰霊碑(以下、動物塚と総称)の歴史をたどってみたいと思います。時間軸に沿って記述しますが、空間軸については地域特性として適宜触れたいと思います。

それらを通して、自然からはみ出してしまったかにみえる人間が、そうはいっても自然の一部であり、取り巻く自然環境、とりわけ動物たちとどのような関係を築いていくのが良いのか考え、実行するためのきっかけとなればと思います。

動物実験を行っている日本の大学や研究機関はなぜ欧米にはない実験動物慰霊碑を建立するのだろうかという疑問から、動物塚の調査を始めたのは世紀が変わった2000年でした。

それから早や十八年が過ぎました。途中、調査の一里塚として2007年に調査結果をまとめて最初の動物塚の本『どうぶつのお墓をなぜつくるか』を上梓しました。内容は動物塚を建立する動機を中心にしたものですが、実験動物以外の各種動物を含むものとなっていました。

それが今や百種以上の動物を含む500基を超える動物塚を調査していました。しかし、無数といってもいいほどの未調査の動物塚が残されています。すべてを調査することは不可能ですが、どうしても見てみたい動物塚がまだいくつも残っています。

山中のけもの道を歩いて登らなければならない所や船を出して頂かなければならない所など難所もあります。クマやイノシシに出会わない季節や時間を選ぶ必要もあります。

今までも地震や台風などに見舞われ、途中で断念したことも少なくありません。それでも、それらの動物塚が私の来るのを待ちわびているのか、私を駆り立てます。

石碑とはいえ、時代と共に様々な原因で失われて行くものも少なくありません。先の東日本大震災でも多くの碑が行方不明になりました。そこで、いったん立ち止まって、調査結果を動物塚からみた人と動物の関係史としてまとめて本にして読んで頂きたいと思いました。そして、自然への畏敬と生きものへの温かい眼差しも新たに、一歩を踏み出したいと願っています。

依田賢太郎

(よだ けんたろう)1939年山梨県生まれ。東京理科大学理学部応用化学科卒業。京都大学工学博士。東洋紡績(株)総合研究所研究室長、同社研究総括部主幹、東洋紡アメリカ(株)上席副社長、スタンフォード大学客員研究員などを経て、1991年から東海大学開発工学部教授、2004年から東海大学特任教授。専門は医用生体工学。2009年よりテクバウ代表。

目次

はじめに

Ⅰ 動物塚の歴史

1 動物塚とは 動物の墓/動物供養・慰霊碑/動物神仏/動物塚の始まりはいつか/動物塚を造る理由

2 動物塚から見た日本人の動物観

3 動物塚の時代変遷 はじめに/時代変遷(中世以前/江戸時代/明治・大正時代/昭和・平成時代)/近代以降の特徴/おわりに

Ⅱ モノグラフ

1 飼育動物
2 野生動物
3 開発・災害・戦争などの犠牲動物慰霊碑
※分類別は下記

Ⅲ 付録

1 建立動機別動物塚一覧
2 用語解説

おわりに


モ ノ グ ラ フ 分 類


1 飼育動物

  • イヌ
  • ネコ
  • ペット霊園(コラム)
  • ウマ
  • ウシ
  • ブタ
  • ヤギ
  • ヒツジ
  • ウサギ
  • 実験動物慰霊碑(コラム)
  • ニワトリ
  • 鳥(タカ・ウ・ハト・ローラーカナリアなど)
  • 虫(養蚕)
  • 虫(食用)
  • 動物園(コラム)

2 野生動物

陸生動物
  • サル
  • クマ
  • イノシシ
  • シカ
  • キツネ・タヌキ・オオカミ・カワウソ・イタチ・ネズミ
  • 鳥(ツル キジ オシドリ サギ トキ コウノトリ ウミネコなど)
  • 虫(伝説)
  • 虫(食用)
  • 虫(学芸)
  • 虫(風流)
  • 虫(害虫)
水生動物
  • ウミガメ・ナマズ・コイ・カニ・ヘビ・サンショウウオ・サバ・タコ
  • ウナギ・アユ・イワナ・ニジマス
  • コイ・ニシキゴイ・キンギョ
  • シジミ・ミヤイリガイ
  • クジラ・イルカ・トド・オットセイ・ラッコ・アシカ
  • サケ・マス・ニシン・イワシ・ボラ
  • マグロ・カツオ・ブリ・サメ
  • フグ・クエ・タイ
  • カニ・エビ・タコ・イカ
  • アコヤガイ・カキ・ハマグリ・アサリ・アワビ・ニシガイ
  • サンマ・アジなど

3 開発・災害・戦争などの犠牲動物慰霊碑

  • 開発
  • 災害
  • 戦争

モノグラフ具体例

ネコ(猫)
猫塚(横浜市金沢区東朝比奈、千光寺)
猫神(鹿児島市吉野町磯、仙巌園)
鍋島猫騒動の猫塚(佐賀県白石町福田、秀林寺)
猫塚(大阪府大阪市西成区、松乃木大明神)
猫塚(東京都新宿区弁天町、漱石公園)

依田賢太郎/著
いきものをとむらう歴史
─供養・慰霊の動物塚を巡る─

四六判並製・232頁
定価=本体1700円+税
ISBN978-4-7845-1742-8

生きものを弔うために古代から現代まで全国各地に動物塚が造られている。五百余りを調査し分類・編成した著者は、建立された動機の変遷を読み解き、私たちが生きものに向ける眼差しに変調のきざしを指摘する。日本人が昔から生きものを弔ってきた数々の由来を紹介。時代を映すレクイエム!!

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既 刊


2007年刊

依田賢太郎/著
どうぶつのお墓をなぜつくるか
ペット埋葬の源流・動物塚

A5判上製・199ページ
定価=本体2000円+税
ISBN978-4-7845-1329-1

購入サイト(外部リンク)

[レポート]動物塚を見に行く2 上野公園・不忍池辨天堂

[レポート]動物塚を見に行く(千葉県我孫子市)~依田賢太郎著『どうぶつのお墓をなぜつくるか』続編刊行

 

 

 


投稿者: 社会評論社 公式ブログ - 目録準備室 -

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