[レポート]動物塚を見に行く(千葉県我孫子市)~依田賢太郎著『どうぶつのお墓をなぜつくるか』続編刊行

駅前の案内板(2018年6月撮影)

6月の日曜日、我孫子駅に来ました。カワウソを供養した石碑を見学するため、ここで依田さんとお会いする約束。駅前から乗り込んだ阪東バスが橋を渡ると視界は広がります。バス停そばのコンビニで目的地を記した地図のプリントで教示をこうと親身に応じて下さって、進むべきは住宅地の向こうに広がる畑の辺り。

梅雨の曇り空の下に鉄塔がでんと建ち、見渡す一面の畑のどこかに目的の石碑があるようです。ちょうど土を耕しているおじさんがいらして、改めて地図と石碑の話をなさる依田さんに、それなら向こうのホラ、あそこの辺りだヨと指さしてくれた。

「有名なんですか?」

「歴史の好きな人には知られているようだね。住んでる者にはどうかなぁ」


祭獺供養碑をカメラに収める依田さん(2018年6月撮影 板垣)

祭獺供養碑と彫られた子どもくらいの背丈の石碑が、三叉路の道しるべにもなっているようでした。

畑から移動するトラクターも通るけれど、普通の車も多い。近道なのかも知れません。近くに太い切り株が並んでいて、以前は大きな木々が育っていた風景だったろうと想像しますが、もしかすると運転の見通しのため、伐られたのかも知れません。

偶然にも、私たちの後から車で乗りつけ碑をカメラに収める方がいました。作業着姿なので測量にでも来たのかと思いましたが、こちらから声をかけると県内の石碑を撮るのが趣味で車で回っていて、作業着なのは石碑が林や草むらにあるから汚れてもいいようにしているとのこと。

観光地にある石碑ならあるけれど、農道の一角にちょこんとある所に同じタイミングで出会うことは珍しいですと依田さん。

石碑の何が人を惹きつけるのか。カワウソの慰霊碑は本当にささやかな存在ですが、じゃあ簡単に造れるかと言えばさにあらず。今も行政が守っているのは、その石碑に込められた来歴、昔の人の営みを尊ぶ気持ちがあるからこそ。歴史を残す意味を考えさせられます。


石碑のそばに旧町名「沼南町」を記した石杭(2018年6月撮影 板垣)

人工臓器や医療器具の研究を仕事にしてきた依田賢太郎さんは、大学の敷地にある実験動物慰霊碑は欧米には見られないことだと思ったことがきっかけとなり、以来、日本各地に建てられる動物の供養・慰霊の碑を「動物塚」と呼び、建立の経緯を調査する旅を周囲の協力を得ながら続けています。

公表されていた論文「動物塚考」を知り、当時「私の調査はまだまだ途中なんですよ」とおっしゃる依田さんに本をまとめさせて下さいとお願いしました。『どうぶつのお墓をなぜつくるか ─ペット埋葬の源流・動物塚─』は調査の一里塚として2007年に社会評論社より刊行しました。

それから10年が過ぎ、続編『いきものをとむらう歴史 ─供養・慰霊の動物塚を巡る─』を刊行することになりました。

依田さんは原稿に個人的な思いを綴ることは慎みながら古代から現代にいたるまで建立され続ける動物塚の記録を積み上げています。その整理された記録を物語として読み直すと、立場や背景がそれぞれ異なる人々が建立する動物塚の数だけ地方に残された人と動物との営みを垣間見られます。

『いきものをとむらう歴史 ─供養・慰霊の動物塚を巡る』は、できるだけ多くの方に読んで欲しいという著者のご希望から動物塚の建立の目的と歴史を平易に伝える第1部と、動物塚に登場する動物(いきもの)の人との歴史をふまえながら個別の来歴を紹介する第2部とで構成しています。詳細はあらためて新刊案内でお伝えします。

文責・板垣誠一郎


2018年7月下旬刊行予定


依田賢太郎/著
いきものをとむらう歴史
─供養・慰霊の動物塚を巡る─

四六判並製・232頁
定価=本体1700円+税
ISBN978-4-7845-1742-8

生きものを弔うために古代から現代まで全国各地に動物塚が造られている。五百余りを調査し分類・編成した著者は、建立された動機の変遷を読み解き、私たちが生きものに向ける眼差しに変調のきざしを指摘する。日本人が昔から生きものを弔ってきた数々の由来を紹介。時代を映すレクイエム!!

 

購入サイト(外部リンク) 調整中

既 刊


2007年刊

依田賢太郎/著
どうぶつのお墓をなぜつくるか
ペット埋葬の源流・動物塚

A5判上製・199ページ
定価=本体2000円+税
ISBN978-4-7845-1329-1

購入サイト(外部リンク)

内容詳細 || 依田賢太郎/著『いきものをとむらう歴史』社会評論社

[レポート]動物塚を見に行く2 上野公園・不忍池辨天堂

投稿者: 社会評論社 公式ブログ - 目録準備室 -

【社会評論社】メール book@shahyo.com 時事問題に取り組む活動記録、評論、学術書、ルポルタージュほか、ひとりひとりが見る世界の面白さを伝える本作りを心がけています。