石河康国/著『向坂逸郎評伝 上巻 1897~1950』目次詳細

大正~昭和にかけマルクスに人生をかけた人々の姿を浮かび上がらせ、近代日本の政治・思想史を照射する向坂逸郎評伝。

石河康国/著
向坂逸郎評伝

上巻 1897~1950

2018年1月刊 A5判 本文2段組 431頁
定価=本体4,000円+税 ISBN978-4-7845-1848-7


著者より読者へ

向坂逸郎をサキサカと読める人も少なくなった。しかし戦前から活躍した日本の『資本論』学者をあげれば、向坂は五指に入るだろう。一番ポピュラーな邦訳『資本論』は岩波文庫のそれであるが、訳者は向坂逸郎である。

向坂は『資本論』学者だっただけではない。九州帝大経済学部教授のとき「赤化教授」として京大の河上肇らと同時に大学を追われ、以降山川均に従い、「労農派」の一員として世界で初めて『マルクス・エンゲルス全集』を完結させ、人民戦線事件で検挙され、出獄後は農耕でファッショ下をしのいだ。

戦後は、九大に復職し、『資本論』を翻訳し、社会党や労働組合に理論的に寄与。六〇年三池闘争は向坂を抜きに語れない。そして社会主義協会を率いて社会党内外のさまざまな論争に打って出て、生涯を終えた。彼くらいマルクスの理論を究めつつ実際運動に関与し、毀誉褒貶の人生を送った学者もめずらしい。

そういう人生だから、「向坂イズム」と悪意も込めて呼ばれることもあった。個人の名を冠した同類は、「レーニニズム」、「スターリニズム」、「山川イズム」など、そう多くはない。その当否はべつとして、理論的にも政治的にも強い存在感を示した人物に、この冠はかぶせられるようだ。

『資本論』第一巻一五〇年を記念して、『資本論』やマルクス関係の文献が数多く刊行されている。ソ連崩壊で「歴史の終焉」が宣言されたものの、早合点だったことに世界が気が付いたからであろう。大著『資本論』には、さまざまな惹かれ方がある。

格差と貧困を解明する書として、グローバリズムの預言書として、経済の長期停滞の謎を探る書として等々、多様な関心の的となっている。そして『資本論』自体の解釈をめぐる経済学者の議論は今もつきない。

本書は、向坂逸郎がどのように『資本論』に惹かれていき、その結果どのような人生を送ったのか、出来るだけ克明にたどろうとした。

本書「はじめに」より抜粋


目 次


はじめに ─『資本論』探求と変革への意志

第一章 晩生の若木

一 幼少~第五高等学校時代
二 東京帝大入学、貪欲に知を吸収
三 マルクス主義の道へ
四 ドイツ留学時代
五 九州帝大時代

第二章 野に放たれた虎

一 昭和初期のイデオロギー状況
二 『マルクス・エンゲルス全集』、『経済学全集』
三 『労農』の新人として
四 地代論論争|論壇の雄へ
五 鵠沼の陽光の下で

第三章 ファシズムと対峙

一 ファシズムの迫る中で
二 戦争前夜の世相を評す

第四章 日本資本主義論争

一 論争に遅れてきた主役
二 主砲火を吹く
三 論争の周辺
四 検挙直前の日々

第五章 獄中と戦時下をしのぐ

一 獄中・獄外
二 片岡「聴取書」、井本「聴取書」、「予審訊問調書」 
三 「心境について」など
四 大森義太郎との別れ
五 戦時下の日々
六 やっと戦争に敗けた

第六章 戦後戦略論議と『資本論』三昧

一 「疑いうる精神」で
二 敗戦直後の「革命」論争の中で
三 『資本論』研究と寺子屋

第七章 『前進』と『経済学方法論』のころ

一 『前進』時代
二 『経済学方法論』
三 論評活動|一九五〇年前後

人名索引


著者略歴 石河康国(いしこ やすくに)1945年生まれ 東京都大田区在。社会主義青年同盟、社会主義協会、新社会党などにたずさわる。主な著書、共著書、編著書:『日本労働者運動史① 日本マルクス主義運動の出発』(共著\ 1975 河出書房新社)『政治的統一戦線へ! 山川均論文集』(編著 1975 社会主義青年同盟)『三池と向坂教室 向坂逸郎・灰原茂雄往復書簡をめぐりて』(灰原茂雄述 往復書簡集と解題 1989 社会主義協会)『戦後日本政治史』(共著 1992 社会主義協会)『山川均・向坂逸郎外伝』(共著 上巻2002 下巻2004 社会主義協会)「灰原茂雄さんの足跡」(『労働者には希望がある』所収 2005 早田昌二郎著 非売)『労農派マルクス主義 理論・ひと・歴史』(上巻 下巻 2008  社会評論社)『あのとき このひと 社会主義二代』(塚本健述 2011 非売)『マルクスを日本で育てた人 評伝・山川均』(Ⅰ2014 Ⅱ2015 社会評論社)


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投稿者: 社会評論社 公式ブログ - 目録準備室 -

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