【寄稿】香港・銅鑼湾書店(跡?)に行ってきました。

目録編集部・San Haau-jat さんからの香港観光のレポートです。日本のニュースでも取り上げられた「銅鑼湾書店」。この書店が入るビルを訪れた印象記と写真をご紹介します。


香港・銅鑼湾書店(跡?)に行ってきました。

「NHKのニュースサイトで、香港の銅鑼湾書店のことが報道されているよ」と友人が教えてくれたのはつい昨日(10月25日)のこと。

教えられたアドレス http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171025/k10011196531000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001 をクリックしてみたら、確かにあの看板が。(注 現在リンク先該当なし)

これが僕たちの間でニュースになったのは、つい数日前、この友人も含めて何人かで香港に行ったときに、この場所に行ってきたばかりだったからだ。

銅鑼湾書店事件については、ご存じの方も少なくないだろう。

NHKが報じているように、中国共産党に批判的な本を多く取り扱っている香港の銅鑼湾書店の関係者5人が2015年の末、相次いで行方不明となり、やがて中国政府に拘束されていることがわかった。

香港では言論弾圧事件として抗議の声が上がり、6000人が参加したデモなども行われた。

いろいろな怪情報も中国から流されたが、中国国内で「違法」に「禁書」を販売した行為が罪に問われ、狙い撃ちにされたものであることは明らかだった。

自殺も考えたほどの中国公安当局による厳しい取り調べの様子を、同書店の創始者で店長の林栄喜が、釈放後のインタビューで告発している。

2年近く過ぎて、4人はすでに釈放され、残っていた1人も24日、拘束を解かれたようだが、香港返還に際して言われた「50年不変」「一国二制度」がきわめて危ういものであることをあらためて明らかにした事件であった。

さて、僕たちが香港島の繁華街・銅鑼湾(コーズウェイ・ベイ)に行ったとき、銅鑼湾書店は、とりあえずそのままの姿でそこにあった。

香港の街の小さな本屋はたいてい雑居ビルの2階にあるので「二樓書店」とか呼ばれているのだけれど、ここもそう。

階段を上がってみると、「暫停營業」と書かれた手書きの紙が貼ってある。まるで、じきに再開できるかのように見えてしまう。

けれど、閉じられたドアの脇には「波波加油(頑張れ)」の文字。「波波」というのは、拘束されていた李波、呂波のことだろう。

興味を惹いたのは、張り紙を止めていたガムテープの上にボールペンで、「大陸から来ました、ネットでここを知りました、閉まっているのが残念ですが、次は開いていますように」といったメッセージが書かれていたこと。

現地で会った香港人の友人は、香港社会は日に日に息苦しくなってきていると訴えていた。

言論弾圧の現場を見てそのリアルさを少しだけ感じるとともに、その圧制をかいくぐっていく人と情報の回路も確実に存在しているのだな、と思った。その意思さえあれば。

なお、その後香港を離れて「流亡」した林栄喜は、来年、台湾で書店を再開するという。

寄稿・San Haau-jat
2017年10月

【 関 連 書 】

20年前の香港返還のあとにでた本ですが、すでにじわじわと「中国化」が進んでいく様子が理解できます。


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投稿者: 社会評論社 公式ブログ - 目録準備室 -

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