寺院に残された写真群を駆使して、僧侶たちの日中近代史をビジュアル化 ─『方鏡山淨圓寺所蔵 藤井靜宣写真集』『鳥居観音所蔵 水野梅暁写真集』


方鏡山淨圓寺所蔵 藤 井 靜 宣 写 真 集

─近代日中仏教提携の実像─


監修/三好章 編著/広中一成 長谷川怜

 

藤井靜宣は過酷な日中戦争の時代に、戦争を非難しながら、持ち前の行動力で中国仏教と係わり続けた。その藤井の努力により、日中仏教界の関係は戦後へと繋がっていった。近代日中仏教交流史をたどるうえで、藤井の存在は看過できない。そして、藤井が淨圓寺に遺した写真は、藤井が育て上げ、戦争から守り抜いた日本仏教と中国仏教との関係を証拠づける貴重な史料群であるといえる。


はじめに ─ – ─ 近代日中仏教交流史における藤井靜宣の位置

第1章  ─ – ─ 中国以前 ― 靜宣の生い立ちから青年期

第2章  ─ – ─ 中国留学

第3章  ─ – ─ 鈴木大拙との旅 ―「支那仏跡見学旅行」
解説 鈴木大拙との旅 ―「支那仏跡見学旅行」

第4章  ─ – ─ 中国での活動 ― 日中提携と戦争の間/中国における藤井晋

第5章  ─ – ─ 息子が見た、父・藤井靜宣― 特高裁判から戦後にかけて

コラム  ─ – ─ 靜宣の家族
靜宣を中国へ導いた水野梅暁
「鈴木先生」の満洲・華北修学旅行
中国仏教界の重鎮―太虚法師
史料紹介「事変後に於ける予の支那開教概要」

方鏡山淨圓寺所蔵藤井靜宣写真集 近代日中仏教提携の実像 方鏡山淨圓寺所蔵 藤井靜宣写真集 ─近代日中仏教提携の実像─

監修/三好章
編著/広中一成 長谷川怜
定価=本体2,000円+税 A5判 160頁

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本書の構成

本書は以下の構成からなる。第1章では、藤井靜宣の出生から大谷大学で過ごした青年期までの姿をたどる。

藤井は生後数ヶ月で早くもその姿が写真に撮られている。当時、世間一般にカメラは広く普及しておらず、出生間もない写真があること自体とても珍しい。藤井家にとって、靜宣は待望の長男であった。その写真からは靜宣に対する家族の期待がうかがわれる。

大谷大学在学中の写真もいくつか残されている。もともと体格のよかった藤井は、この頃になると髭を蓄え羽織袴を着た堂々とした姿に成長していた。行動的、攻撃的と評されたその性格は、その風貌からも垣間見ることができる。

第2章では、東亜同文書院留学時代の藤井を取り上げる。藤井は支那語聴講生(外務省給費生)として東亜同文書院で勉学に励む一方、休みになると、中国の仏教史跡をめぐる旅に出かけた。その際、藤井は持っていたカメラで寺院やその周辺の風景を撮影してまわった。この経験を通して、藤井は中国仏教への理解を深めていった。

第3章では、1934 年の鈴木大拙らとの中国仏跡旅行の写真をみていく。すでに、このとき撮られた写真は鈴木大拙著『支那仏教印象記』に掲載されているが、浄円寺に遺されたアルバムには、そのもととなった写真が収められていて、さらに、同書に掲載されていない貴重な写真もまだ多くある。同章では、旅行の行程をまとめた解説とともに、それら写真を通して旅程全体を振り返り、彼らが何を見て、何を経験したのか探る。

第4章では、日中戦争勃発以降、日本が中国侵略を進めるなか、藤井が中国でどのような活動をしていたのか、写真を通してみていく。同章では、袈裟から国民服に着替えて宣撫工作に赴く姿や、中国僧らと交流する様子など、藤井と戦時期の中国仏教会との関わりを写真からたどる。また、藤井の実弟で、日中戦争中、陸軍宣撫官を務めていた藤井晋すすむの活動をとらえた写真もあわせてみていく。

第5章では、靜宣の子息である宣丸氏からのインタビュー記事を掲載する。

以上の写真を通して、戦前の日中仏教関係のなかで、藤井がいかなる役割を果たしたのか考えていきたい。巻末には人物索引および掲載写真一覧を付した。

 次ページは、『鳥居観音所蔵水野梅暁写真集 ─仏教を通じた日中提携の模索─』

投稿者: 社会評論社 公式ブログ - 目録準備室 -

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