加藤幸治/著『復興キュレーション ─語りのオーナーシップで作り伝える〝くじらまち〟』目次詳細

加藤幸治/著『復興キュレーション ─語りのオーナーシップで作り伝える〝くじらまち〟 (キオクのヒキダシ2)』が今月から発売になります。

震災前と今を結び直す空間づくり。
町に生きる声が響き合う企画展の取り組みと、次への提言。

大震災後、コミュニティの「絆」や「記憶」の継承が盛んに論じられてきました。しかし、震災経験の違いだけでなく、人生経験の多様さをもった牡鹿半島というフィールドにあって、着目すべきは個人が紡ぎだす物語です。そのとき重要なのは、コミュニティよりも「ライフ」。つまり、ひとり一人の人生の営みや、生活の実感に対する真摯なまなざしです。

フィールドワークで、わたしが最も大切にしたいことは感受性です。相手の人生やくらしの営み、なりわいへの誇りなどの語りのうちにひそむ、人々が大切にしたいものへ深い共感を抱くこと、そしてそれをおもんばかることで見出す問いこそが、「復興キュレーション」の軸をなすものです。 (本文より)


『復興キュレーション』は、牡鹿半島の鮎川浜をフィールドワークとして、著者が2011年3月11日の大震災以降、文化財レスキューから始まり現在進行形で取り組み続けている企画展の報告と提言が主な内容です。町の人たちとの対話の中で地元の記憶を引き出す企画展示。著者が学生達とともに「次の見せ方」を試行錯誤する取り組みの様子を、話し言葉の文体と現場写真をふんだんに使用して再現します。博物館活動からみえる復興事業の問題提起に一石を投じる作品です。

加藤幸治/著
復興キュレーション
語りのオーナーシップで作り伝える〝くじらまち〟

(装丁・中原達治)

■書誌情報 四六判ソフトカバー 本文256頁、口絵カラー4頁
ISBN978-4-7845-1734-3 定価=本体2,300円+税

 

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■目次


はじめに

・ 震災復興と人文学の葛藤
・ ミュージアムとコレクションの復旧
・ 博物館活動を通じた復興への積極的な関与
・ フィールドの地域概要

【1】すくう、のこす  大規模災害と文化財レスキュー

・ 東日本大震災と文化財レスキュー
・ なぜ文化財レスキューの現場は多いのか
・ 大学博物館による文化財レスキューへの支援
・ 文化財レスキューの過酷な現場
・ 民俗資料の保全作業の厄介さ
・ 大学生が担う被災民俗資料の応急処置
・ 地域の博物館史のなかの文化財レスキュー

【2】ほりおこし、わかちあう  被災地の復興と文化創造活動

・ 復興キュレーション  ―復興期に展開する文化創造活動―

・ 感情のドキュメンテーション  ―大震災から二年目の被災文化財の展示活動―

・ オンゴーイングなアプローチ  ─大震災から三年目の被災文化財の展示活動─

・ 脱・文化財レスキュー  ―大震災から四年目の被災文化財の展示活動―

・ 文化創造のインタラクション  ―大震災から五年目の被災文化財の展示活動―

・ 「新しい野の学問」の実践へ  ―大震災から六年目の被災文化財の展示活動―

・ 新たなミュージアムのかたちへ  ─ポスト文化財レスキュー期の博物館空白を埋める移動博物館─

【3】かたらい、おもんばかる  〝被災地〟から人生のいとなみの場へ

モノをめぐって“声”が響き合う

捕鯨と関連産業のエピソード
(クジラのヒゲ ・ 解剖刀 ・ 捕鯨会社の創業者の肖像写真 ・ イシャリ ・ 叉木 ・ 〆糟絞り具 ・ 標識銛 ・ 櫂 ・ 銛 ・ 梶 ・ 筌1 ・ 筌2 ・ 生簀 ・ 金華山の祈祷札 ・ 玉網 ・ バーナー ・ カニ筌 ・ 賞状 ・ アワビ ・ 鉤と網)

農の風景のエピソード
(鍬 ・ 背負籠 ・ 除草機 ・ 千歯扱き ・ 催青箱 ・ 馬の首木 ・ 藁草履 ・ 回転式脱穀機 ・ 藁櫃 ・ 唐箕 ・ 鋸鎌)

浜のくらしとにぎわいのエピソード
(捕鯨会社の看板 ・ 算盤 ・ 自動演奏オルガン ・ 消防ポンプ車 ・ 巻貝の貝殻 ・ 草鞋 ・ 横槌 ・ 長持 ・ クジラの耳骨 ・ 仙台箪笥 ・ 俎板 ・ 棟札)

ひとり一人のくらしの風景

鮎カフェAyuCafé
(昭和20 年代の鮎川浜 ・ 男たちの活躍 ・ 女たちの活躍 ・ 家族の楽しみ)

【4】つくり、つたえる  文化における「より良い復興」へ

・ 文化創造と民俗誌
・ 「ライフ」へのまなざし
・ グローバルに共有できる物語と共感のちから
・ 語りのオーナーシップ
・ 「より良い復興」と文化創造
・ 「お守り言葉」を超えて
・ 社会関与型の実践へ
・ パフォーマンスと対話によるフィールドワーク
・ ドキュメンテーションと民俗誌

●これまで実施した移動博物館一覧


書評掲載 加藤幸治/著『復興キュレーション – 語りのオーナーシップで作り伝える〝くじらまち〟』


■著者紹介 : 加藤幸治(かとうこうじ)

東北学院大学文学部歴史学科教授・同大学博物館学芸員。専門は民俗学、とくに物質文化論。静岡県出身。

総合研究大学院大学文化科学研究科比較文化学専攻(国立民族学博物館に設置)修了、博士(文学)の学位取得。第17回日本民具学会研究奨励賞(2003年)・第21回近畿民具学会小谷賞(2003年)・第16回総合研究大学院大学研究賞(2011年)を受賞。

現在、文化遺産防災ネットワーク有識者会議委員、日本民俗学会第31期理事、日本民具学会第17期理事ほかを務める。

主な著作として、単著に『郷土玩具の新解釈 無意識の“郷愁”はなぜ生まれたか』(社会評論社、2011年)、『紀伊半島の民俗誌 技術と道具の物質文化論』(社会評論社、2012年)、共著に 国立歴史民俗博物館編『被災地の博物館に聞く』(吉川弘文館、2012年)、日高真吾編『記憶をつなぐ 津波災害と文化遺産』(財団法人千里文化財団、2012年)、橋本裕之・林勲男編『災害文化の継承と創造』(臨川書店、2016年)ほかがある。


※・・・ この本は、叢書【キオクのヒキダシ】第2巻です。高校生や大学生の若者にもぜひ手にとっていただきたい作品です。公共図書館様、学校図書館様ぜひお取り扱い下さい。書店様におかれましては、企画プレゼン読み物の棚にもぜひお薦めをいたします。


【訂正】
初版第1刷の本文中に下記の誤りがありました。訂正の上、お詫び申し上げます。

10頁1行目:(誤)年八ヶ月が経過した (正)年八ヶ月が経過した

122頁後ろから3行目:(誤)この都市は (正)この


 

投稿者: 社会評論社 公式ブログ - 目録準備室 -

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