専修大学ゆかりの研究者と新刊 ──野沢敏治著『内田義彦 日本のスミスを求めて』、内田弘著『『資本論』のシンメトリー』

内田義彦・シンメトリー

8月の新刊『内田義彦─日本のスミスを求めて』(野沢敏治著)が好評です。いつも経済学はどこか敷居が高く、恐れ多い気持ちで出荷をする室員ですが、今回はふと冒頭「はじめに 一風変った、でも本当の経済学史家」を一読し、あ、おもしろそうと思いました。著者・野沢敏治氏の平易で読みやすい文面がなによりありがたいですし、内田義彦という人物像にも興味をひかれたのでありました。

 内田は普通の研究者と違い、自分の師から与えられたテーマをこつこつとこなしていった人でない。また早くから自分を専門に閉じこめて業績を出していった者でもない。彼は何をどうやって学ぶかについて長いこと悩んだ。その専門の範囲はヨーロッパの経済学史であったが、彼はヨーロッパ研究に必要な留学をしていない。戦争が彼に鎖国を強いたのである。
(中略)
 内田は専門研究以外にエッセーや対談を好んだ。研究者の中には随筆を片手間のすさびとしか見ない者がいるが、内田にとっては生命を注ぎ込むほどのものであり、その文章は学校の教科書に採録され、ある本は視覚障害者のために点字に移されている。(『内田義彦 日本のスミスを求めて』8頁)

 

『内田義彦』の制作を手がけた社主が、ふだん経済学にとんと関心を示さない室員に「シツイン君、この内田義彦はきみと同じ専修大学の人だよ」と教えてくれました。

事務所から歩いて行けるところに専修大学神田キャンパスがあります。専修大学といえば、いまは何といってもプロ野球・広島東洋カープの黒田博樹投手を思い出します。通勤途中の小田急線車中で専修大学のポスターにも、黒田投手の勇姿が目にとまります。

専修大学1

野沢敏治氏の新刊に誘われて、室員お昼休みに神保町へ足を向け、内田義彦の本を探しに行く途中、母校専修大学神田キャンパスも通りかかりました。創立130記念に復元した「黒門」のある広場で写真も撮りました。

専修大学2

さいきん知り合いに「えっ!専修大学OBなのに、黒田を知らないの!? ドーン!」と指摘された室員もまた卒業生なのですが、大学で培ったことをいまだに活かせないまま20年近くになります。トホホ。


新刊『内田義彦 日本のスミスを求めて』(野沢敏治著)は毎日数冊ずつ着々と注文をいただいております。以下、本書のご案内です。

内田義彦 日本のスミスを求めて内田義彦─日本のスミスを求めて
野沢敏治

価格=本体2600円+税 ISBN978-4-7845-1837-1
[主要目次]
前編 戦中・戦後の青年たちの軌跡
Ⅰ 日本型経済の仕組みとその崩壊――山田盛太郎『日本資本主義分析』
Ⅱ 資本主義の構造変動
Ⅲ 日本精神による近代批判とそれへの反批判
Ⅳ 「市民社会青年」による新たな資本主義認識と政治主体の探求
後編 市民社会の経済学の成立
Ⅰ 内田義彦の戦中の模索
Ⅱ 戦後の歩み
Ⅲ 『経済学の生誕』――スミスとマルクス

 


専修大学名誉教授・内田弘先生が、同僚であった内田義彦氏の思い出を綴っている文章がインターネットで閲覧できます。(専修大学社会科学研究所月報No. 549「晴耕雨読の暮らしが待っている-定年退職を迎えて- 」)http://www.senshu-u.ac.jp/~off1009/PDF/smr549.pdf

内田弘著『『資本論』のシンメトリー』(小社刊)が図書新聞2016年7月30日号で書評記事に載りました。

  • 佐藤淳二氏寄稿「『資本論』のパラドックス」

    時代の緊急性が、時代を超える書物を選ぶことがある。内田弘『『資本論』のシンメトリー』もそのような書物であろう。19世紀の自然科学(とりわけ数学と天文学)と経済学の交差点に『資本論』を位置づけるのみならず、20世紀の構造主義の全ての夢さえもそこに映し出す内田弘の読解は、とりわけ若い読者たちに読まれるべきものだ。(記事冒頭より)

本書をお買い求めの読者からは次のようなメッセージもいただいています。

マルクスの思考法を抽象的な幾何学的操作という視点からとらえるというとても刺激的な本です。世界的にみても独創的なのではないでしょうか。たいへんおどろかされました。こういう本を時代の波をのりこえて出しつづけていって下さい。(大学教員40代)

ふだん専門図書を細々と刊行する出版社にとっては、こうした声援がなにより嬉しいことです。ありがとうございます。

『資本論』のシンメトリー『資本論』のシンメトリー
内田弘

価格:本体4500円+税 発行日:     2015年9月25日
ISBNコード:     ISBN978-4-7845-1498-4
【目次】
序 章 『資本論』の編成原理とは何か 経済学批判の天文学史的背景
第I章 価値形態論・商品物神性論・交換過程論 『資本論』の編成原理
第II章 貨幣または商品流通
第III章 貨幣の資本への転化
第IV章 労働過程と価値増殖過程
第V章 絶対的剰余価値
第VI章 相対的剰余価値・絶対的相対的剰余価値・資本蓄積
終 章 『資本論』のパラドックスのシンメトリー


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投稿者: 社会評論社・目録準備室

【社会評論社】●時事問題に取り組む活動記録、評論、学術書、ルポルタージュほか多岐に渡る図書を発行。市民の立場から世界を見る面白さがつまった本作りを心がけています。メール book@shahyo.com